雲取山に行ってきた その4


伊勢湾台風について調べてみました。


伊勢湾台風(1959年台風第15号)■

死者 4,697人
行方不明者 401人
負傷者 38,921人
全壊・流失 40,838棟
半壊 113,052棟
一部損壊 680,075棟





雲取山でも伊勢湾台風の影響を受けました。
それは、強風による広範囲な森林破壊です。
ただ、森林破壊による空き地(ギャップ)の形成は、森林の遷移を引き起こしました。
森林の遷移って・・・?


本来、この場所はコメツガやシラビソといった陰樹(生育にそれほど日の光を必要としない種類の樹木)の森だったことがポイントです。

原生林が破壊されると、林の中が急に明るくなり、地面は乾燥してしまいます。このような場所では、湿ったコケの上で発芽・生育するコメツガやシラビソの幼樹は生育できません。まず、最初に草本類が生え、しだいにダケカンバやオガラバナ、ミネヤカエデなどの陽地に生える落葉樹が侵入し、さらに落葉樹の木陰に針葉樹が入っていきます。もとの原生林に戻るまでには200〜300年の永い月日を要します。


これ、コメツガやシラビソの森の感じです。


これ、ダケカンバです。幹の色が違いますし、背が高い。
日差しを受けるため、成長するのが早いのです。
ただ、陽樹の稚樹は、母樹の下では育ちません。
光が不足するからです(何か悲しいけど、ダケカンバが選んだ戦略ですから。。。)。


コメツガの稚樹は、日陰でも育ちます。
母樹の下で少しずつ大きくなり、やがて世代交代を行うのです。
実際、多くの稚樹をみることができました。
なるべく多くの光をあびる樹形になっています。

ギャップができてから約50年たち、背の高いダケカンバがみられます。
ただ、コメツガやシラビソも育ってきており、いずれはこれらの木が多数派になるのでしょう。


途中、鹿の姿を見かけました。
人の気配に気づき斜面を駆け上がりましたが、ずっとこちらを伺っています。
鹿は視力が良くないそうです。
こちらが動かない限り、鹿は察知することができず、多分ドキドキ状態のはずです。

↑木々の間からこちらを伺う鹿。


大ダワまでやってきました。