富岡製糸場に行ってきた その3


富岡製糸場世界文化遺産への登録理由を調べてみた。



(2)建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値感の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。

→(推薦理由)高品質生糸の大量生産をめぐる日本と世界の相互交流

  • 明治政府による高品質生糸の大量生産のための近代西欧技術導入。
  • 日本国内での養蚕・製糸技術改良の促進。
  • 日本の高度な養蚕・製糸技術の海外移転による世界の絹産業の発展。

(4)歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である。

→(推薦理由)世界の絹産業の発展に重要な役割を果たした技術革新の主要舞台

  • 器械製糸から自動繰糸機までの製糸技術の発達を伝える富岡製糸場
  • 革新的な養蚕技術の開発とその普及を伝える建築物・工作物の代表例



推薦理由をみると、(2)は「価値観の交流」(4)は「主要舞台」となっています。物理的に分かりやすいのは(4)であり、(2)は表現するのが難しいと思われます。今の富岡には(2)の素晴らしさを伝えるものが少ないのではないかと思われます。

逆に、世界遺産を訪れる人たちも、このような価値を理解していればよりその遺産の重要性を感じることができるのではとも思います。



話は変わりますが、富岡製糸場の民間最後(1939〜2005年)のオーナーであった会社が東証一部に上場していることをご存知でしょうか。3001片倉工業です。操業停止後、老朽化が進む建物の維持に尽力した企業の努力も忘れてはいけません。