富岡製糸場と絹産業遺産群が世界遺産リストに登録されることになったようです。社会科の授業で、富岡製糸場のことを習った記憶はあるのですが、世界遺産に登録されるレベルのものという認識はありませんでした。
富岡製糸場と絹産業遺産群の推薦理由として、以下のようにまとめられています。
本資産は、世界経済の貿易を通じた一体化が進んだ19世紀後半から20世紀にかけて、高品質な生糸の大量生産の実現に貢献した技術交流と技術革新を示す集合体である。
その結果、世界の絹産業の発展と絹消費の大衆化がもたらされた。
この技術革新は、製糸技術の革新と、原料となる良質な繭の増産を支えた養蚕技術の革新の双方が相まって成し遂げられた。
本資産は、製糸とこれを支える養蚕の技術革新の過程を示す構成要素を併せ持ち、生糸を生産する過程全体を今日に伝える顕著な見本である。
教科書では、殖産興業の一例として取り上げることが目的で、それが世界史の中でどのように位置づけられるのかというところまで示す必要は無かったのでしょう。
世界遺産として登録すべきであるとした遺産が、暫定一覧表記載文化遺産として推薦されています。なぜこの遺産が推薦に値するかを示した推薦文には世界レベルで見た遺産の特殊性が記述されていて非常に興味深いです。
暫定一覧表記載文化遺産
推薦されている遺産のうち、平泉と富岡製糸場が登録されました(鎌倉は難しいとの判断)。
- × 古都鎌倉の寺院・神社ほか(神奈川県,平成4年)
- ■ 彦根城(滋賀県,平成4年)
- ○ 富岡製糸場と絹産業遺産群(群馬県,平成19年)
- ■ 飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群(奈良県,平成19年)
- ■ 長崎の教会群とキリスト教関連遺産(長崎県,平成19年)
- ■ 国立西洋美術館(本館)(東京都,平成19年)
- ■ 北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群(北海道・青森県・岩手県・秋田県,平成21年)
- ■ 九州・山口の近代化産業遺産群(福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・鹿児島県・山口県,平成21年)
- ■ 宗像・沖ノ島と関連遺産群(福岡県,平成21年)
- ■ 金を中心とする佐渡鉱山の遺産群(新潟県,平成22年)
- ■ 百舌鳥・古市古墳群(大阪府,平成22年)
- ○ 平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群-(拡張)(岩手県,平成24年)
個人的には、(長崎の教会群とキリスト教関連遺産)と(九州・山口の近代化産業遺産群)が登録されるんじゃないかなと勝手に思っています。